やっぱりキミが好き
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(160501) #冨樫夢ワンライ ( @togashi_dream ) 『やっぱりキミが好き』
フィンクスが血塗れになって家に帰ってきた。
約半年ぶりの再会がそんなスプラッタなものになるとは想像していなかったし、今朝掃除したところの玄関は大量の血の跡でどろどろに汚れてしまった。
生臭い鉄の臭いに吐きそうになりながらとりあえずタオルを手渡せば「しばらく放っておいてくれ」とか言われるし。でもこの状況を前にして「いや、そもそもここは私の家だしその恰好でソファーに寝たら殴るぞ」なんて口に出せるほど私のハートは強くない。そんなことを思っている間にフィンクスよりも付き合いの長いソファーちゃんが赤黒く染まった。悲しい。
今までどこで何してたのとかその怪我どうしたのとか聞きたいことは沢山あるのに、いつもより少し丸まったフィンクスの背中は明確にそれを拒否している。今どき背中で語る男なんて流行らないからやめなよ。なんか喋ってよ。
大体付き合って三年になるけどフィンクスがどんな仕事をしているのかとか全く知らないし、そもそも養ってるの私だし。家族のこととか今までの彼女のこととか聞くのもなんかなと思っているうちにずるずるとここまで来たけどそもそも私たち付き合ってんのかな ?いい歳して何言ってんだって話だけど流されて一緒にいるだけで付き合おうとかそういう感じは全くなかったよね。あれか、薄々気がついてたけどヒモってやつか? ヒモってもっと家のこととかやってくれるんじゃないの? フィンクスって大体うちでゴロゴロしたり一緒にどっか遊びに行ったりゲームしたり……って学生の恋愛かよ。今まで馬鹿みたいな話ばっかりして大事な話は全くしてこなかった。
「ねえ」
うちに置いたままの着替えを差し出し話し掛けても蹲ったままのフィンクスから返事はない。
そもそもフィンクスは喧嘩っ早いし眉毛は無いし年中ジャージでたまに違う服を着たと思えば訳分かんない帽子かぶっちゃうし、雑だし単純だし足は臭いし女心は分かんないしイケメンかと言われると微妙だし。なんでこんな奴と付き合ってんだろ。
「ねえってば」
本当に、なんで。こんないいところが一つもない奴と、なんで。
「ここで死んだら殺すから」
「……矛盾してんだろそれ……っていうかなに泣いてんだよ」
一人で熱くなって馬鹿みだいだ。ようやく身体を起こしたフィンクスの大きな手が不器用に私の頭を撫でる。汚れるでしょ、やめてよ。そんな言葉の代わりに零れたのは唸るような嗚咽だけで。
本当に馬鹿みたい。ずっと一人で待って、心配して。それでもやっぱり好きなんだから。
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