16. ろくでなしどもの恋

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Twitterで呟いていた「ルーク・ハントのことが好きな僕は任意の相手をデートに誘うし僕のことが好きなルーク・ハントはその相手と寝るんだけど」の話です。本人たち以外楽しい話ではない。
成分表:ネームレス男主夢 | 恋人? | 任意のモブとの円満△


 談話室のソファーに身体を預け、今日発売されたばかりのファッション雑誌のページを捲る。暖炉で揺らめく暖かなオレンジ色の炎。その中で薪が弾けるパチパチという音に耳を傾けながら美しい写真の数々を目で追っていると、凛とした声が僕の名前を呼んだ。

「ルークを見なかった?」

 顔を上げた先で僕を見下ろす、雑誌の表紙と同じ顔。冗談めかして「サインをくれたら教えてあげる」と手の中の雑誌を掲げた僕を見て、彼は「高くつくわよ」と口の端を上げて笑った。

「ルークなら僕の部屋にいるよ」
「そう、ありがとう」
「でも今は行かないほうがいいと思う」

 多分立て込んでいるだろうから。そう続けると、ヴィルはその美しい瞳をパチパチと瞬かせたあと心底呆れたように片手で顔を覆った。

「信じられない! アンタたちまだそんなことやってるの?」

 僕は昨日、オクタヴィネルの二年の子とデートをした。名前は確か……カイルとかカイとか、そんな感じだったと思う。覚えてないけど、綺麗な響きの素敵な名前だったはずだ。鮮やかな青い髪が美しい、スズメダイの人魚の子。授業も部活もない土曜日。外出届を出して、朝から浜辺にピクニックをしにいったんだ。昨日は一日中天気がよくて温かかったから、ちょっと海に足先をつけてみたり磯のほうまで歩いてみたりしたあと美味しいお弁当を食べた。午後になると流石に少し冷えてきたから、風邪をひいてしまう前に僕の部屋に戻って夜まで二人でのんびり過ごした。わかるだろ? 一癖も二癖もある人魚ばかりが集まるあの寮には珍しく、素直で可愛いイイ子だったよ。そして今日……というか今まさに、ルークが彼とデート中だ。僕の部屋で、っていうか僕のベッドの上で? ルークは自分の部屋に他人を入れたがらないからね。

「別にいいだろう? 大きな問題になったことはないし、全て合意の上だ」

 僕はルークのことが好きで、ルークも僕のことが好き。入学式で出会ったとき一目で気付いた。ルークは僕の運命だってね。だからこそ僕は定期的に目についた可愛い子とデートをするし、ルークはその子を抱く。別にそうしようって相談したわけでも、約束したわけでもない。気付いたらそうなってたというか、多分そうなる定めだったんだ。黒いフードの下、視線が交差したあの瞬間から。

「……あ、そろそろ行くよ」
「……ほどほどにしなさいよ」

 あと、これをルークに渡しておいて。大きな溜め息とともに差し出された書類の束を恭しく受け取って、僕はその場をあとにする。
 時刻はちょうど十二時を過ぎた頃。書類と雑誌を小脇に抱え、人影のない静かな廊下を行く。自室まではもう少し。今日のルークは一体どんな顔で僕を待っているのだろう。気が急いて自然と足が速まる中、僕は可愛いあのこルークに思いをはせた。


 




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